見解けんげ)” の例文
このゆえに真に自家証得底じかしょうとくてい見解けんげあるもののために、拘泥のはんを払って、でき得る限り彼らをして第一種の解脱に近づかしむるを道徳と云う。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
されども世俗の見解けんげには堕ちぬ心の明鏡に照らして彼れ此れ共に愛し、表面うはべの美醜に露なづまれざる上人の却つて何れをとも昨日までは択びかねられしが
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
何時もと一寸調子が違うので、どこへ坐って、見解けんげ(何もないのであるが)を呈せんかと、少しまごついておると、老師は自分の向いに在る籐椅子を指して、「それ、そこへ」と指図せられた。
鹿山庵居 (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
室中しつちゆう以上いじやうは、なに見解けんげていしないわけかないので、やむをさまらないところを、わざとをさまつたやう取繕とりつくろつた、其場そのばかぎりの挨拶あいさつであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
されども世俗の見解けんげにはちぬ心の明鏡に照らしてかれこれともに愛し、表面うわべの美醜に露なずまれざる上人のかえっていずれをとも昨日まではえらびかねられしが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
室中しつちゅうに入る以上は、何か見解けんげを呈しない訳に行かないので、やむを得ず納まらないところを、わざと納まったように取繕とりつくろった、その場限りの挨拶あいさつであった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「今夜はまだ見解けんげもできないかも知れませんから、明朝みょうちょうか明晩御誘い申しましょう」と親切に云ってくれた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今夜こんや見解けんげ出來できないかもれませんから、明朝みやうてう明晩みやうばん御誘おさそまをしませう」と親切しんせつつてれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)