西国さいごく)” の例文
旧字:西國
関東・東北の働き人たちが、荷繩になわばかりを背にかけて山に行き、田畠に行くにたいして、もとは西国さいごくでは朸をかかえて出かけるふうがあった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
わたしが、いままでにたひすいのうちで、西国さいごく女王じょおうくびにかけてあるかざりのたまほど、不思議ふしぎうつくしいものはありません。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いずこへともなく飄然ひょうぜんと姿を消したわが退屈男は、それから丁度十八日目の午下ひるさがり、霞に乗って来た男のように、ふんわりと西国さいごく、京の町へ現れました。
「そうかといって、いちに集まる物資を見ても、町の文化を一べんしても、物の豊かな点とか民度の高いことでは、西国さいごくの諸城市や港々のほうが、ずんとすぐれておるのだが」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その弟の主水重昌もんどしげまさは、慶長十九年大阪冬の陣の和がこうぜられた時に、判元見届はんもとみとどけの重任をかたじけなくしたのを始めとして、寛永十四年島原の乱に際しては西国さいごくの軍に将として、将軍家御名代ごみょうだいの旗を
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「一夫さん、長々お世話になりました。忠八はイヨ/\西国さいごくへ参ります」
村一番早慶戦 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
私共が外遊から帰ると、お婆さんは「四国しこく西国さいごくしなすったってねえ」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
安永四年の序文を掲げてあるが、その中にはすでに遠江とおとうみのカナコバシ、西国さいごく地方のセンバゴキ(千把扱き)の名が見えている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そして、西国さいごく女王じょおうくびにかかっていた貴重きちょうなひすいは、ついにふじのはなくにきさき首飾くびかざりになったのであります。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、西国さいごく猛者もさどもをおさえるにはちと遠いぞ。——お、これが富士ふじ神州しんしゅうのまン中にくらいしているが、裾野すそのたいから、甲信越こうしんえつさかいにかけて、無人むじんの平野、山地の広さはどうだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、そのことは、一こくとみくしても、おそらく、西国さいごく女王じょおう承諾しょうだくることはむずかしかったのです。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)