から)” の例文
餘所よそをんな大抵たいてい綺麗きれいあかおびめて、ぐるりとからげた衣物きものすそおびむすしたれて只管ひたすら後姿うしろすがたにするのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
着物の裾をからげて浅葱の股引をはき、筒袖の絆纏に、手甲てっこうをかけ、履物は草鞋をはかず草履か雪駄かをはいていた。
巷の声 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
我は裾をからげあへず停車場まで駈けつけしは宛然として一幅の鳥羽絵、此旅竟に膝栗毛の極意を以て終れり。
かけはしの記 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
とうとう侍女達はその公主を肩に乗せ、臂をり、裾をからげ、くつを持って鞦韆の上に乗せた。
西湖主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
コートの裾をからげながら、ゴタ/\した秋雨あきさめの町を菊坂の方へ急いでゆく。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
しろいシヤツのうへ浴衣ゆかたかたまでくつて、しりからげて草鞋わらぢ穿はい幾人いくにんれつからはなれたとおもつたら、其處そこらにつて見物けんぶつして女等をんならむかつて海嘯つなみごとおそうた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)