蜘手くもで)” の例文
洩さずにく知る人はありやなしやと思うがまゝ我儕おのれが日ごろおぼえたるかの八橋やつはし蜘手くもでなす速記法ちょうわざをもて圓朝ぬしが口ずからと滑らかに話しいだせる言の葉を
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
十万余騎を三手に分けて三方より同じくときを作る、入道恵性えしよう驚きて周章あわて騒ぐ処へ、三浦兵六力を得て、江戸、豊島としま葛西かさい、川越、坂東ばんどうの八平氏、武蔵の七党を七手になし、蜘手くもで輪違わちがひ
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
くれば治承四年、淨海じようかい暴虐ばうぎやくは猶ほまず、殿でんとは名のみ、蜘手くもで結びこめぬばかりの鳥羽殿とばでんには、去年こぞより法皇を押籠おしこめ奉るさへあるに、明君めいくんの聞え高き主上しゆじやうをば、何のつゝがもおさぬに
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
牛のしりがいここに外れてモウともギュウとも云うべき言葉なく、何と珠運に云い訳せん、さりとて猥褻みだらなるおこないはお辰に限りてなかりし者をと蜘手くもでに思い屈する時、先程の男きたりてまた渡す包物つつみものひらきて見れば
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いざよひの波も重きか、蜘手くもでよどむ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
蜘手くもでなし迷へるあゆみを繰り返す。
いざよひの波も重きか、蜘手くもでよどむ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)