)” の例文
関五郎の藤陰なることが、藤陰自己若くは其友人の口若くは筆につて説かれてゐるものを謂ふ。わたくしは猶進んでかう云ふことが知りたい。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
されども諸王は積年の威をはさみ、大封のいきおいり、かつ叔父しゅくふの尊きをもって、不遜ふそんの事の多かりければ、皇太孫は如何いかばかり心苦しくいとわしく思いしみたりけむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
頃日このごろ高橋邦太郎さんに聞けば、文士芥川龍之介さんは香以の親戚だそうである。もし芥川氏の手にってこの稿のあやまりただすことを得ば幸であろう。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
侠客伝は女仙外史じょせんがいしより換骨脱胎かんこつだったいきたる。其の一部は好逑伝こうきゅうでんるありといえども、全体の女仙外史をきたれるはおおからず。これ姑摩媛こまひめすなわかれ月君げっくんなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
蘭軒集中に出てゐる皆川叔茂しゆくもであらう。此につて松宇には俳趣味、叔茂には狂歌趣味のあつたことが推せられる。わたくしは此に今一つ言つて置きたい事がある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
染むる者の水にるも亦大なりといふべし。而して味の水に藉る、亦いよ/\大なり。
(新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「なに、もう濟んだからい」と云つて、わたくしは光照院を辭した。しかし江間、長島の親戚關係は、到底墓表と過去帳とにつて、明め得べきものでは無かつた。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
緒余しょよに『四つの海』を著した抽斎が好尚の一面は、図らずもそのじょくがってかくの如き発展を遂げたのである。これは明治二十七年十二月で、勝久が四十八歳の時であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一時優の救援にって衣食するもの数十人のおおきに至ったそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
わたくしは永田嘉一さんの手につて秋山の墓誌銘を獲た。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)