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薹
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たう
ふりがな文庫
“
薹
(
たう
)” の例文
その頃にしては少し
薹
(
たう
)
の立ちかけた
二十歳
(
はたち
)
、さして美しくはありませんが、育ちのせゐか
垢拔
(
あかぬ
)
けがして、娘らしい魅力に申分はありません。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
恁
(
か
)
うして
居
(
ゐ
)
る
間
(
あひだ
)
に
春
(
はる
)
の
彼岸
(
ひがん
)
が
來
(
き
)
て
日南
(
ひなた
)
の
垣根
(
かきね
)
には
耳菜草
(
みゝなぐさ
)
や
其
(
その
)
他
(
た
)
の
雜草
(
ざつさう
)
が
勢
(
いきほひ
)
よく
出
(
で
)
だして
桑畑
(
くはばたけ
)
の
畦間
(
うねま
)
には
冬
(
ふゆ
)
を
越
(
こ
)
した
薺
(
なづな
)
が
線香
(
せんかう
)
の
樣
(
やう
)
な
薹
(
たう
)
を
擡
(
もた
)
げて、
其
(
そ
)
の
先
(
さき
)
に
粉米
(
こごめ
)
に
似
(
に
)
た
花
(
はな
)
を
聚
(
あつ
)
めた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
呼ぶスハヤ
尤物
(
いうぶつ
)
は
此中
(
このうち
)
に在るぞと三人鵜の目鷹の目見つけなば
其所
(
そこ
)
に
入
(
い
)
らんとする樣子なり我は元より冷然として先に進み道のかたへの
菫
(
すみれ
)
蕗
(
ふき
)
の
薹
(
たう
)
蒲公英
(
たんぽゝ
)
茅花
(
つばな
)
など
此
(
こゝ
)
に
殘
(
のこん
)
の春あるを
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
尤、最近の娘形は、
薹
(
たう
)
が立つ以上にすさまじいものになつてしまつたけれども。
役者の一生
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
薹
(
たう
)
に立ち葉牡丹の花のどかなりうつら飛びめぐる虻と蜂と蝶
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
蕗
(
ふき
)
の
薹
(
たう
)
にも春が来た
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その上二十歳白齒は少し
薹
(
たう
)
が立つて、たゞ開け放しの正直らしいところだけが、平次の好感を誘ひます。
銭形平次捕物控:231 鍵の穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お種の阿魔は
薹
(
たう
)
が立つたから、今更毛程も未練がねえ。こつから千住へかけて、年が明けたらお前さんのところへ轉げ込むといふのが七人くらゐはありますぜ——と斯うだ。
銭形平次捕物控:248 屠蘇の杯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その頃の相場では少し
薹
(
たう
)
が立ちましたが、兎にも角にも、美しい娘盛りのお萬が、土藏の中、——丁度階子段の下のあたりで巨大な
唐櫃
(
からびつ
)
の下敷になつて、石に打たれた花のやうに
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
訪ねて行つたのは源助町の裏長屋で、見る影もない貧しい調度の中に二十一二の——娘といふにしては少し
薹
(
たう
)
が立ちましたが、この上もなく上品な女がたつた一人、淋しく暮してゐるのでした。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この上は昔奉公して居た兩國の水茶屋へ行つて、少し
薹
(
たう
)
が立つても、三年なり五年なり奉公をする約束で、纒まつた金でも借りて、良人の面目を救はうか——そんな事を胸算相して居りました。
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのうちに
薹
(
たう
)
の立つた美男——佐野松が嫌になつた。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“薹”の意味
《名詞》
(とう)あぶらなやふきなどの花軸や花茎。
(出典:Wiktionary)
薹
漢検1級
部首:⾋
17画