たう)” の例文
その頃にしては少したうの立ちかけた二十歳はたち、さして美しくはありませんが、育ちのせゐか垢拔あかぬけがして、娘らしい魅力に申分はありません。
うしてあひだはる彼岸ひがん日南ひなた垣根かきねには耳菜草みゝなぐさその雜草ざつさういきほひよくだして桑畑くはばたけ畦間うねまにはふゆしたなづな線香せんかうやうたうもたげて、さき粉米こごめはなあつめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
呼ぶスハヤ尤物いうぶつ此中このうちに在るぞと三人鵜の目鷹の目見つけなば其所そこらんとする樣子なり我は元より冷然として先に進み道のかたへのすみれふきたう蒲公英たんぽゝ茅花つばななどこゝのこんの春あるを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
尤、最近の娘形は、たうが立つ以上にすさまじいものになつてしまつたけれども。
役者の一生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
たうに立ち葉牡丹の花のどかなりうつら飛びめぐる虻と蜂と蝶
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ふきたうにも春が来た
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
その上二十歳白齒は少したうが立つて、たゞ開け放しの正直らしいところだけが、平次の好感を誘ひます。
お種の阿魔はたうが立つたから、今更毛程も未練がねえ。こつから千住へかけて、年が明けたらお前さんのところへ轉げ込むといふのが七人くらゐはありますぜ——と斯うだ。
その頃の相場では少したうが立ちましたが、兎にも角にも、美しい娘盛りのお萬が、土藏の中、——丁度階子段の下のあたりで巨大な唐櫃からびつの下敷になつて、石に打たれた花のやうに
訪ねて行つたのは源助町の裏長屋で、見る影もない貧しい調度の中に二十一二の——娘といふにしては少したうが立ちましたが、この上もなく上品な女がたつた一人、淋しく暮してゐるのでした。
この上は昔奉公して居た兩國の水茶屋へ行つて、少したうが立つても、三年なり五年なり奉公をする約束で、纒まつた金でも借りて、良人の面目を救はうか——そんな事を胸算相して居りました。
そのうちにたうの立つた美男——佐野松が嫌になつた。