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葦簾
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よしず
ふりがな文庫
“
葦簾
(
よしず
)” の例文
算木
(
さんぎ
)
、
筮竹
(
ぜいちく
)
、天眼鏡、そうして二、三冊の
易
(
えき
)
の書物——それらを載せた
脚高
(
あしだか
)
の
見台
(
けんだい
)
、これが店の一切であった。
葦簾
(
よしず
)
も天幕も張ってない。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
横臥場はサナトリウムのはしにあって、ポプラだの藤だのの下に
葦簾
(
よしず
)
を張り、横臥椅子をずらりと並べてあった。
蝱の囁き:――肺病の唄――
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
私は、荒れている灰色の海をちらと見ただけで、あきらめた。橋のたもとの望富閣という
葦簾
(
よしず
)
を張りめぐらせる食堂にはいり、ビイルを一本そう言った。
狂言の神
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
新七はお力に手伝わせて、
葦簾
(
よしず
)
がこいにした休茶屋の軒下の位置に、母の食卓を用意した。揚物の油の音は料理場の窓越しにそこまで伝わって来ていた。
食堂
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
じりじり暑い西日が、庭木の
隙
(
すき
)
や
葦簾
(
よしず
)
を洩れて、西だけしかあいていない
陰鬱
(
いんうつ
)
な彼の書斎の畳に
這
(
は
)
い拡がるなかにいて、庸三はしばらく葉子と離れて暮らしていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
と口の中でつぶやいたが、それらしい影も見えないので、またしょんぼりと
葦簾
(
よしず
)
のかげへはいった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それでなくても家の周囲は雪がこいで
壁板
(
したみ
)
や、
葦簾
(
よしず
)
などが立てかけてあって、高い窓から入る明りばかりだから少し
暮方
(
くれがた
)
に近くなると表はそうでなくても家の内は真暗だ。
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
夏の夜の由井ヶ浜は、お祭りみたいに明るく
賑
(
にぎや
)
かであった。浜の舞台ではお
神楽
(
かぐら
)
めいた余興が始まっていた。黒山の人だかりだ。舞台を囲んで
葦簾
(
よしず
)
張りの
市街
(
しがい
)
が出来ている。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「これでは、どう」と窓の
葦簾
(
よしず
)
張りから
覗
(
のぞ
)
いている貝原に見せた。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
野天芸人
(
のてんげいにん
)
の
諸〻
(
もろもろ
)
も、
葦簾
(
よしず
)
を掛けたり
天幕
(
テント
)
を張って、その中で芸を売っている。「蛇使い」もあれば「
鳥娘
(
とりむすめ
)
」もある。「
独楽
(
こま
)
廻し」もあれば「
籠
(
かご
)
抜け」もある。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
護摩堂
(
ごまどう
)
から
笠神明
(
かさしんめい
)
へかけて、二十軒建ちならぶ江戸名物お福の茶屋、
葦簾
(
よしず
)
掛けの一つに、うれし野と染め抜いた小旗が
微風
(
そよかぜ
)
にはためいているのが、
雑沓
(
ざっとう
)
の頭越しに見える。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
入口の壁の上に貼付けたものは、
克
(
よ
)
く北信の地方に見かける御札で、烏の群れて居る
光景
(
さま
)
を表してある。土壁には大根の
乾葉
(
ひば
)
、
唐辛
(
たうがらし
)
なぞを懸け、粗末な
葦簾
(
よしず
)
の雪がこひもしてあつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
中野五郎は、顔馴染になった監視員の、
葦簾
(
よしず
)
張りのなかに入りながら呟いた。
地図にない島
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
という鼻から抜ける声とともに、間伸びした鈴の音が、立場茶屋の
葦簾
(
よしず
)
を通して耳にはいると、江戸者らしい若い小意気な旅人が、ひとり飲みかけた茶碗を置いて振り返った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
公園の蓮池を前に、桜やアカシヤが影を落している静かな一隅が、お三輪の目ざして行ったところだ。
葦簾
(
よしず
)
で囲った休茶屋の横手には、人目をひくような新しい食堂らしい旗も出ている。
食堂
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
葦簾
(
よしず
)
を取り込んだ茶店へ腰かけて、しばらくは上りを待ってみたものの、降ると決まったその日の天気には、いつ止みそうな見当さえつかないばかりか、墨を流したような大空に
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
半月ばかり見ないうちに、家々は
最早
(
もう
)
冬籠
(
ふゆごもり
)
の用意、軒丈ほどの高さに
毎年
(
まいとし
)
作りつける粗末な
葦簾
(
よしず
)
の雪がこひが
悉皆
(
すつかり
)
出来上つて居た。越後路と同じやうな雪国の
光景
(
ありさま
)
は丑松の
眼前
(
めのまへ
)
に
展
(
ひら
)
けたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ザザザアッ! とうしろに
葦簾
(
よしず
)
をかっさばいた白光に、早くも身を低めた栄三郎が腰掛けを蹴返したとたん、ものをいわずに伸びきった源十郎の狂刀が、ぞッと氷気を呼んで栄三郎の頭上に舞った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
葦
漢検準1級
部首:⾋
13画
簾
漢検準1級
部首:⽵
19画
“葦簾”で始まる語句
葦簾張
葦簾囲
葦簾戸