荒増あらまし)” の例文
オホホ、私もくわしい事はよく存じませんが先ず荒増あらましを申せばお米は草の実でもみという皮をかぶってその皮をくと中に若い芽があります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
配り新規召抱の家來へも夫々役割やくわり申付用意も荒増あらましに屆きたれば愈々明日の出立と相定め伊賀亮常樂院等の連名れんめいにて大膳方へ書翰しよかん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
全く谷間田の云いし如くお紺の言立にも此事件の大疑団は氷解したり今お紺が荻沢警部の尋問に答えたる事の荒増あらましを茲に記さん
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
くだもの、菓子、茶など不消化にてもうまく候。朝飯は喰はず昼飯はうまく候。夕飯は熱が低ければうまく、熱が高くても大概たいがい喰ひ申候。容態荒増あらまし如此かくのごとくに候。(四月二十日)
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
あとはと思つてゐると、今度こんどは毎日の活計くらしはれした。自分ながら心持こゝろもちはしなかつたけれども、仕方しかたなしにこまるとは使つかひ、こまるとは使つかひして、とう/\荒増あらましくして仕舞つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
加へ新規しんき建添たてそへなどし失費もいとはず人歩をまして急ぎければわづかの日數にて荒増あらまし成就じやうじゆしたれば然ばとて一先歸國すべしと旅館へは召し連下男一人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それでモーお登和嬢の価値は荒増あらまし分るだろうが、ともかくもどんな人だかってみたいとおっしゃってそれからお逢わせ申したらさぞおよろこびになるだろう。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
掛て急ぐ程に僅かに五十日許りにて荒増あらまし出來上り建具屋たてぐや疊張付たゝみはりつけ諸造作しよざうさく庭廻にはまはりまで全く普請は成就して壯嚴美々敷調ひけりよつて本多源右衞門と南藏院の兩名りやうめいにて普請ふしん出來せし旨を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)