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茫々
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ぼう/\
鼻の下だの、
眉毛の辺だのには、
逞しいむく
毛が
茫々と生えて、人間の顔のような感じはしない。
左右見渡す
限り
苜蓿の
下臥す
野は、
南部馬の
牧場と
聞くに、
時節とて一
頭の
駒もなく、
雲の
影のみその
幻を
飛ばして一
層寂しさを
増した……
茫々たる
牧場をやゝ
過ぎて、
道の
弧を
描く
処で
それが
古くから
火事で
燒かれたり、
斧で
伐られたりして、
天然にあつたそれ
等の
樹木が
大抵消えてなくなつてしまひ、つひに
今日見るような
茫々として、はてしもないような
草原になつたのです。