自墮落じだらく)” の例文
新字:自堕落
その客も大抵は生若い男や、自墮落じだらくな遊び人などで、お紋のきりやうに釣られて、口を開いて小半日見て居ると言つた人間ばかりです。
何より先に私が身の自墮落じだらくを承知して居て下され、もとより箱入りの生娘ならねば少しは察しても居て下さろうが、口奇麗な事はいひますとも此あたりの人に泥の中の蓮とやら
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
衣服きものおびめて、やがてしり端折はしをらうところ、ふとはしうへると、堅氣かたぎおほいが、賣女屋ばいぢよやのあるちひさな宿やどなんとなく自墮落じだらくふうまるとえて、宿中しゆくぢういづれも朝寢あさねらしい。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この時分の世の中で祝言をしない男女が同棲するといふことは、自墮落じだらくな社會でもなければ、滅多にあり得ない事だつたのです。
なによりさきわたし自墮落じだらく承知しやうちしてくだされ、もとより箱入はこいりの生娘きむすめならねばすこしはさつしてもくださろうが、口奇麗くちぎれいことはいひますともこのあたりのひとどろなかはすとやら
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
座敷牢の中は、陰慘で不氣味でしたが、思ひの外綺麗で、吉之助の生活は、決して自墮落じだらく自棄やけなもので無かつたことがよくわかります。
それは平松屋源左衞門の弟で、自墮落じだらくと、不道徳と、汚辱をじよくの中に育つた美少年であることは八五郎も知つて居りました。
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
こいつはもと品川で勤めをしてゐた三十女で、以前は武家の出だといふが、自墮落じだらくの身を持崩して、女のみさをなんてものを、しやもじのあかほどにも思つちやゐない。
お六といふのは、摺れつ枯らしと純情と、侠氣をとこぎ自墮落じだらくを兼ね備へたやうな、この社會によくある型の女、不きりやうではあるが、八五郎が強調したほどみにくくはありません。
相手は一本落した浪人者、少し自墮落じだらくな風ですが、惡くない男振りです。三十前後といつた年配、少し四角な顏で、一寸凄味があつて、キラリと光る眼も尋常ではありません。
お茂の自墮落じだらくな生活には愛想を盡してゐる樣子で、何を訊いても苦笑ひするばかり。
それにしても、萬兩分限の娘といふにしては、少し自墮落じだらくなまめきます。
淫奔いんぽん自墮落じだらくなお近に、そんな面があらうと誰が氣のつくものでせう。