ずね)” の例文
正勝はぱっと身を翻して、鞭をぴしりっと敬二郎の向こうずねに打ち込んだ。瞬間、敬二郎の投げつけた腰掛けが正勝の肩に当たって落ちた。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
八「笑かせアがらア、若大将わかてえしょうに胡麻すりアがって脊負おんぶのくせに、割前わりめえが出ねえと思ってふざけアがると向うずねぶっくだかれねえ用心しやアがれ」
はてはそばまつろうのいることをさえもわすれたごとく、ひとしきりにうなずいていたが、ふとむこずねにたかった藪蚊やぶかのかゆさに、ようやくおのれにかえったのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その下駄にて重き物を持ちたれば足もと覺束なくて流し元の氷にすべり、あれと言ふ間もなく横にころべば井戸がはにて向ふずねしたゝかに打ちて、可愛や雪はづかしきはだに紫の生々しくなりぬ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そう叫んで、私は百姓の向うずねを泥靴で力いっぱいにあげた。蹴たおして、それから澄んだ三白眼をくり抜く。泥靴はむなしく空を蹴ったのである。私は自身の不恰好ぶかっこうに気づいた。悲しく思った。
逆行 (新字新仮名) / 太宰治(著)
父は、痩せた毛ずねを縁の方に伸ばし、ごろりと横になつた。
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
その下駄げたにておもものちたればあしもと覺束おぼつかなくてながもとこほりにすべり、あれともなくよこにころべば井戸いどがはにてむかずねしたゝかにちて、可愛かわいゆきはづかしきはだむらさき生々なま/\しくなりぬ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「じれッてえのう、むこずねいやす」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その下駄にて重き物を持ちたれば足もと覚束おぼつかなくて流し元の氷にすべり、あれと言ふ間もなく横にころべば井戸がはにて向ふずねしたたかに打ちて、可愛かわいや雪はづかしきはだに紫の生々しくなりぬ
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)