臆病者おくびやうもの)” の例文
見るとそれは、今まで臆病者おくびやうものとばかり思ひ込ませてゐた若黨の勇吉。めう引緊ひきしまつた凄い顏をして、裸蝋燭を片手に、新三郎の陷ち込んだ穴を覗きます。
斷行だんかうさ。もう何も考へてゐることあ有りやしない。此の上愚圖ぐづついてゐたら、俺は臆病者おくびやうものよ、加之お房のことを考へたつて………」と思はず莞爾につこりして
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
が、作用さようにはなにもない。たいして恐怖きようふいだ臆病者おくびやうものは、こともつ自分じぶんなぐさめること出來できる。すなはたい將來しやうらいくさいしひきがへるうちつて、生活せいくわつするとこともつなぐさむることが出來できる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
申と直樣すぐさましばるぞと有けるにぞ元來ぐわんらい臆病者おくびやうもののことゆゑ林藏はがた/\ふるの根もあはず居たりしかば家主嘉右衞門はそばより是々林藏確乎しかとした御答おこたへを申上よ大事だいじな儀ぢやぞと申に林藏なにいたしましてうそ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「八五郎親分は、飛んだ臆病者おくびやうものね、我が此處へ泊つたところで、誰にも何んにも言はせはしない」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「あの臆病者おくびやうものの?」