肝煎きもい)” の例文
源太早くも大方察して老婆としよりの心の中さぞかしと気の毒さたまらず、よけいなことしいだして我に肝煎きもいらせし清吉のお先走りをののしり懲らして
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
始めはこの古い家柄を衷心から尊敬するスコッチの大蔵大臣の肝煎きもいりで手堅い公債ばかり買い入れ、その利息で楽々生活費が支弁出来た。
バットクラス (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ここへ着いてはじめて不破の関守氏の肝煎きもいりの結果なのだから、いずれのところからも、深夜に使者の立つ心当りはないのです。
これは私の親たちの肝煎きもいりで私の師匠東雲師へ弟子入りをさせたのですから、私のしんからの弟子ではなく、おとと弟子でありますが、不幸なことには
おかみは独で肝煎きもいって、家を近在きんざいの人に、立木たちきを隣字の大工に売り、抵当に入れた宅地を取戻とりもどして隣の辰爺さんに売り
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「そんなこと、いうもんじゃないわ。今夜は、その友田さんの肝煎きもいりで、江崎満吉と、仲直りの式をしとるのに……」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「おめえにも肝煎きもいるだな」と温厚な父親は云った、「そんな砂ぐれえ、一丈も積んだわけじゃあるめえし、なぜっぱらってへえっていかなかっただ」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
肝煎きもいって受験準備を整えている上に、試験場でもあわてずに落ちついて知って居るだけを書いて出すが、田舎から出て来た者は、そういう点で二三割損をする。
電報 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
尚々藏方くらかた目付替御座候處、何となく被肝煎きもい候口氣、伊十院有之、誠に可笑事に御座候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
御隠居と意見の合わないところから、越前えちぜん公の肝煎きもいりで、当時一橋家ひとつばしけいでいる人である。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
安達君は可もなく不可もない成績で卒業したけれど、就職の考査に再三失敗した揚句あげく、大谷さんが○○銀行に勤めている関係から、その肝煎きもいりで○○信託へ入れて貰ったのである。
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
主人側の肝煎きもいり役が言葉叮嚀に二人の卓上演説を促すと、マアク・トヱンはやをらち上つて、持前の皮肉や諧謔やを取り交ぜて二十分ばかりしやべつた。演説はすばらしい出来だつた。
大村の肝煎きもいりで朝鮮の幾人かの文人達と一席を設けたところ、その席上で三十分もせぬ中に彼が玄竜の中に朝鮮人全部を見てとったのは、さすがに鋭い芸術家の烱眼けいがんだと讃嘆して附け加えた。
天馬 (新字新仮名) / 金史良(著)
十九の年に、免許皆伝を許されると、彼はただちに報復の旅に上ったのである。もし、首尾よく本懐を達して帰れば、一家再興の肝煎きもいりもしようという、親類一同の激励の言葉に送られながら。
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)
旧幕時代の万事ことを知るものが、その身分々々によって肝煎きもいりをした。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「虎もさいもばかやつらだし、あの毛唐けとうもばかやつらだ、こんなに肝煎きもいったこたありゃしねえ、ええつまんねえ、出べえや、なあ、出ちまうべえよ先生」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
さてまた、いろいろの肝煎きもいり、世話焼きをしてやっているうちにも、恩に着るものばかりはない。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
中国の名優の梅蘭芳メイランファンが帝国劇場に出演しに来たとき、その肝煎きもいりをした某富豪に向って、老妓は「費用はいくらかかってもかまいませんから、一度のおりをつくって欲しい」
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
街道付近の村々からは人足差配方の肝煎きもいりが日々両三名ずつ問屋場といやばへ詰め、お定めの人馬二十五人二十五匹以外の不足は全部雇い上げとし、賃銭はその月の十四日から六割増と聞こえているくらいだ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
とらさいもばかやつらだし、あの毛唐けとうもばかやつらだ、こんなに肝煎きもいったこたありゃしねえ、ええつまんねえ、出べえや、なあ、出ちまうべえよ先生」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
支那の名優の梅蘭芳メイランファンが帝国劇場に出演しに来たとき、その肝煎きもいりをした某富豪に向って、老妓は「費用はいくらかかってもかまいませんから、一度のおりをつくって欲しい」
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「まずかったな」倉なあこは云った、「あのぶっくれ舟を馴らすにゃあ肝煎きもいるだよ」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「まずかったな」倉なあこは云った、「あのぶっくれ舟をらすにゃあ肝煎きもいるだよ」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
肝煎きもいっちゃうな」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)