肉食にくじき)” の例文
相手は肉食にくじき妻帯の本願寺だ。いつそ光悦や探幽式に裏方や姫達を天人と見立てて、天井へは何も画かない事にしたら、どんな物だらう。
もちろん俗人の事ですから肉食にくじき、妻帯、飲酒おんじゅ等もして居るのですけれども、チベットは妙な所で純粋の僧侶がやはりその方の所に行くと礼拝するのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其時在所ざいしよの者が真言しんごん道場だうじやうであつた旧地へ肉食にくじき妻帯さいたい門徒坊もんとぼんさんを入れるのは面白く無い、御寺の建つ事は結構だがうか妻帯をさらぬ清僧せいそう住持じうぢにしていたゞきたいと掛合かけあつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
はげむゆゑに山伏といふ又修驗しゆけんといツパ其修行そのしゆぎやう終り修行滿みちたる後の本學ほんがくとあれば難行苦行をなし修行しゆぎやうをはりて後の本名ほんみやうなりかるがゆゑに十かい輪宗りんしう嘲言てうげんてつすればいとふべき肉食にくじきなし兩部りやうぶ不二の法水を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
殊の外愚僧を愛せられ、是非とも満行寺に立寄れよと御勧おすすめなされ候により、そのまゝ御厄介に相なり候処、当山は申すまでもなく西本願寺派にしほんがんじは丸円寺まるまるじの分れにて、肉食にくじき妻帯の宗門なり。
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
然し葷酒くんしゅ(酒はおまけ)山門さんもんに入るを許したばかりで、平素の食料しょくりょうは野菜、干物、豆腐位、来客か外出の場合でなければ滅多に肉食にくじきはせぬから、折角の還俗げんぞくも頗る甲斐かいがない訳である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
肉食にくじきはする、酒はのむ、あまつさえ弟子善信には、妻帯の媒立なかだちまでしたという売僧まいす法然、口賢くちさかしく、女人教化きょうげなどと申しおるが、その実いかがやら、まさしく仏教の賊、末法の悪魔」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここにおいて前者は僧に肉食にくじき妻帯さいたいを許して僧俗の区別をゆるやかにし、後者はこの間に最も厳格な区別を立てる。前者はただ悪の許されることを説き、後者は戒律による力強い自己鍛錬を力説する。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
なぜなればあの人は肉食にくじきをしなくてはほとんど一日も居られない程のラサ府に居りながら、殊にセラ大寺では肉粥にくかゆや肉の食物を布施ふせとして沢山施される所に居りながら
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
彼は肉食にくじき妻帯をしている。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上等の僧侶は一日として肉がなくては決して喰うことが出来ない。どうかして斎戒さいかいを保って肉食にくじきをやめるような事があるとやかましい事で、せたとか死にそうになったとか言うてわいわい騒ぐです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)