繁花はんくわ)” の例文
女はさら也、男も十人に七人はこれ也。しかれどもすめみやことて、繁花はんくわの江戸に奉公する事としありてのち雪国の故郷ふるさとかへる者、これも又十人にして七人也。
ち九四に同じといふ附會説こじつけせつありまだ午後の三時に及ばず今三里行けば木曾中第一の繁昌地福嶋ふくしまなり其所そこまで飛ばせよといふ議もいでしが拙者左りの足があやしければイヤサ繁花はんくわの所より此の山間の宿やどに雨を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
その元日も此雪国の元日もおなじ元日なれども、大都会たいとくわい繁花はんくわ辺鄙へんひの雪中と光景ありさまかはりたる事雲泥うんでいのちがひなり。
いでて未だ鳥の謠ひ奏づるほか人間の音樂は聞ずさすがに此は遊浴繁花はんくわの地とて優しくも聞くものかな且つ其調そのしらべも拙なからずかすめて唄ふに聲はさだかならねど人抦もさぞと慕はしきにいざやこゝへ呼びて一曲を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
その元日も此雪国の元日もおなじ元日なれども、大都会たいとくわい繁花はんくわ辺鄙へんひの雪中と光景ありさまかはりたる事雲泥うんでいのちがひなり。
する物と見えたり成程此宿このしゆく繁花はんくわにて家數も多く作りて立派なり晝前なるに料理屋に三味線さみせんの音ありさだめて木曾の歌の古雅なるならんと立寄れば意氣がりて爪彈つめびきで春雨いらぬ事ながら何やら憎く思はれぬ道中筋の繁花な所といふと得て生意氣な風が吹て可厭いやな臭がしたがる者なり賢くも昨夜ゆふべの宿を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
とほく来りたるものは宿をもとむるもあれば、家毎いへごとに人つどひ、香具師かうぐし看物みせもの薬売くすりうり弁舌べんぜつ、人の足をとゞめてきりたつべき所もあらぬやう也。此初市の日は繁花はんくわの地の喿饒にぎはひにもをさ/\おとらず。
繁花はんくわをしらざる幽僻いうへきの地なるゆゑなり。