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縁先
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ゑんさき
貸金の
取たて、
店への
見廻り、
法用のあれこれ、
月の
幾日は
説教日の
定めもあり
帳面くるやら
經よむやら
斯くては
身體のつゞき
難しと
夕暮れの
縁先に
花むしろを
敷かせ
寮の
門をばくゞり
入るに
正太かねても
遊びに
來馴れて
左のみ
遠慮の
家にもあらねば、
跡より
續いて
縁先からそつと
上るを、
母親見るより、おゝ
正太さん
宜く
來て
下さつた
信如が
何時も
田町へ
通ふ
時、
通らでも
事は
濟めども
言はゞ
近道の
土手々前に、
假初の
格子門、のぞけば
鞍馬の
石燈籠に
萩の
袖垣しをらしう
見えて、
縁先に
卷きたる
簾のさまもなつかしう