籠中かごのなか)” の例文
それより一同いちどう種々いろ/\まをしてかれ御前ごぜんにわびたりければ、幼君えうくんふたゝび御出座ごしゆつざありて、籠中かごのなかひとむかはせられ、「其方そのはうさほどまでにくるしきか」
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なんなりともかなひたるを、あくまでしよくすべし」と強附しひつけ/\、御菓子おんくわし濃茶こいちや薄茶うすちや、などを籠中かごのなかところせまきまでたまはりつ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
幼君えうくん眞顏まがほにて、「くるしからず、はやつかはせ」とうながたまふ。さては仔細しさいのあることぞと籠中かごのなかひともたらせたり。彼男かのをとこいたこうじ、置處おきどころさまにて、冷汗ひやあせきてぞかしこまりたる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)