神璽しんじ)” の例文
みほぎと言ふのは、神が表すべき運命の暗示を、予め人が用意して於て祝福するので、此場合、玉は神璽しんじとして用ゐたのではない。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ことらは、ただちに内侍所ないしどころ(三種ノ神器をおく所)へすすみ、つつしんで神璽しんじ御鏡みかがみなどを捧持ほうじして、早よう車のうちへうつしたてまつれ。……また公敏きんとし季房すえふさなんどは、供の用意を
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二位殿は、日頃から覚悟の事とて、少しも乱れる色もなく、鈍色にぶいろ二衣ふたつぎぬに、練袴ねりばかまをそば高くはさみ、神璽しんじを脇に、宝剣を腰にさし、主上をお抱きして舟ばたまで、静かに歩み出された。
主上におかせられては勿体もったいなくも、婦人車にお召しになられ、神剣、神璽しんじを奉じたてまつり、ひそかに南都へご行幸あそばされ、ついで和束わつか鷲峯山しゅぶせんへご行幸、ここも、危険とおぼしめされ
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
討手うって追撃ついげきを受けて宮は自害し給い、神器のうち宝剣ほうけんと鏡とは取り返されたが、神璽しんじのみは南朝方の手に残ったので、楠氏越智おち氏の一族さらに宮の御子みこ二方ふたかたほうじて義兵を挙げ、伊勢いせから紀井きい
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
コスモはかうべれて不敢いかでか不敢いかでか汝の命は神璽しんじ靈寶にも代へじといひき。
で、ここには今、戦捷の意気がみなぎっていた。山名細川の首も近く見ようぞ。春ともなれば、尊氏たかうじの首級を、京にけて、神璽しんじを奉じ、主上の還幸をお願いし奉ろうぞ。そうみな希望にかがやいていた。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神璽しんじを脇にかいばさみ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)