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礙
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さまた
ふりがな文庫
“
礙
(
さまた
)” の例文
純であるから、いろいろなものに邪魔をされずに、又は種々な外皮に
礙
(
さまた
)
げられずに、真直に真に触れて行くことが出来るのである。
小説新論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
人間の心の底からの純な願いからではなく、悪に
礙
(
さまた
)
げられてのやむをえぬ生活法だからである。人間には互いに働きかけたい心願がある。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
そのために
礙
(
さまた
)
げらるることなくというのは第二に導かれる意味になるのであるから、この歌はやはり、「母に
関
(
かか
)
わることなく、
拘泥
(
こうでい
)
することなく」
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
忽ち水に住む霊怪の陰険な
係蹄
(
わな
)
に掛かつたかと思ふやうに、ドルフは両脚の自由を
礙
(
さまた
)
げられた。溺死し掛かつてゐる男が両脚に抱き附いたのである。
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
これが秀麿の脳髄の中に
蟠結
(
はんけつ
)
している暗黒な塊で、秀麿の企てている事業は、この塊に
礙
(
さまた
)
げられて、どうしても発展させるわけにいかないのである。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
一時
(
ひとしきり
)
魔鳥
(
まちょう
)
の
翼
(
つばさ
)
と
翔
(
かけ
)
りし黒雲は全く
凝結
(
ぎょうけつ
)
して、
一髪
(
いっぱつ
)
を動かすべき風だにあらず、気圧は低落して、呼吸の自由を
礙
(
さまた
)
げ、あわれ肩をも
抑
(
おさ
)
うるばかりに覚えたりき。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一部は橋の
袂
(
たもと
)
から突出た
巌
(
いわ
)
に
礙
(
さまた
)
げられてこゝに
淵
(
ふち
)
を
湛
(
たた
)
え、余の水は其まゝ押流して、余が立って居る
岬角
(
こうかく
)
を
摩
(
す
)
って、また下手対岸の蒼黒い
巌壁
(
がんぺき
)
にぶつかると
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
こゝでは深い
青黝
(
あをぐろ
)
い色をなして、其處此處に小さな渦を卷き/\彼吊橋の下を音もなく流れて來て、一部は橋の袂から突出た巖に
礙
(
さまた
)
げられてこゝに淵を湛へ、餘の水は其まゝ押流して
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
神々に似た己の
歩
(
あゆみ
)
を
礙
(
さまた
)
げることは出来まい。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
けれども僕は東京の事情に
礙
(
さまた
)
げられて列席することが出来ないので、そのことをも僕はひどく寂しくおもつた。法事終へてから家兄が父の小さい手帳を届けて呉れた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
他
(
あれ
)
は小説家だから
与
(
とも
)
に医学を談ずるには足らないと云い、予が官職を以て相対する人は、他は小説家だから重事を
托
(
たく
)
するには足らないと云って、
暗々裡
(
あんあんり
)
に我進歩を
礙
(
さまた
)
げ
鴎外漁史とは誰ぞ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
俵はほとんど船室の出入口をも密封したれば、さらぬだに
鬱燠
(
うついく
)
たる室内は、空気の流通を
礙
(
さまた
)
げられて、
窖廩
(
あなぐら
)
はついに
蒸風呂
(
むしぶろ
)
となりぬ。
婦女等
(
おんなたち
)
は
苦悶
(
くもん
)
に
苦悶
(
くもん
)
を重ねて、
人心地
(
ひとごこち
)
を覚えざるもありき。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そしてその行く道は物体に
礙
(
さまた
)
げられる。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
蘭軒は病んではゐたが、其病は書を裁することを
礙
(
さまた
)
ぐる程のものではなかつたらしい。前年
吟哦
(
ぎんが
)
を絶つてゐた故が不審である如く、此年に不沙汰をした故も亦不審である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そはさながらに、物に
礙
(
さまた
)
げられずして
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
礙
漢検1級
部首:⽯
19画
“礙”を含む語句
障礙
罣礙
無礙
阻礙
障礙物
礙滞
融通無礙
草妨礙
縦横無礙
礙碍
光明無礙
独往無礙
無障無礙
無礙智山
無礙性
無礙光如来
妨礙
円融無礙