石動いするぎ)” の例文
加越の境にある石動いするぎでは、「竹簾たけすだれ」を挙げるべきでしょうが、この附近でよく見かける「藤帚ふじぼうき」は全く他の地方にない形を見せます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
高岡石動いするぎ間の乗り合い馬車は今ぞ立野たてのより福岡までの途中にありて走れる。乗客の一個ひとり煙草火たばこびりし人に向かいて、雑談の口を開きぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
兵馬の大群は、やがて般若野はんにゃのから庄川しょうがわをわたり、戸出といでに夜営し、次の日はすでに、石動いするぎの北方から山岳地へかかっていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
能登のと石動いするぎ山のふもとの村では、虎杖をイタズリともいうがまたガラボコともいう。
ここばかりではのうて、峠を越しました向うの坂、石動いするぎから取附とッつきのぼり口にも、ぴたりと封じ目の墨があるでござります。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それには、鳥越城と対している味方の倶利伽羅くりからとりでにもらず、敵の気づかぬまに、石動いするぎから北方の山地を間道づたいに加賀へ抜けて、鳥越城の背後から、突如とつじょ、急襲しようという策をえらんだ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいはいう、昔石動いするぎの城より遠矢を放ちしが立ちたる処なり云々。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「見たようだもないもんだ。高岡から馬車に乗ったとき、人力車と競走かけっくらをして、石動いするぎ手前からおまえさんに抱かれて、馬上うまの合い乗りをした女さ」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むかしこの猿ヶ馬場には、渾名あだな熊坂くまさかと言った大猿があって、通行の旅人を追剥おいはがし、石動いするぎの里へ出て、刀のつば小豆餅あずきもちを買ったとある、と雪の炉端ろばたで話がつもる。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
縦騁しょうてい五分間ののち、前途はるかに競争者の影を認め得たり。しかれども時遅れたれば、容易に追迫すべくもあらざりき。しこうして到着地なる石動いするぎはもはや間近になれり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おなじく大學だいがく學生がくせい暑中休暇しよちうきうか歸省きせいして、糠鰊こぬかにしん……やすくて、こくがあつて、したをピリヽと刺戟しげきする、ぬか漬込つけこんだにしん……にしたしんでたのと一所いつしよに、金澤かなざはつて、徒歩とほで、森下もりもと津幡づはた石動いするぎ
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)