めくる)” の例文
奇しくも黄金わうごんの十字の紋章かゞやきいだし、感激にめくるめく一使徒がバプテスマの河をよろめき足して岸に這ひあがるごとく
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
これにめくるめいたものであろう、啊呀あないまわし、よみじの(ことづけ)をめたる獅子を、と見る内に、幼児おさなごは見えなくなった。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それにしても、千浪はこの夜更けにどこへ行くのだろう? しかも一人で——新九郎はめくるめくほどの嫉妬を感じた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酒折さかをりの宮、山梨の岡、鹽山、裂石さけいし、さし手の名も都人こゝびとの耳に聞きなれぬは、小佛こぼとけさゝの難處を越して猿橋のながれにめくるめき、鶴瀬つるせ駒飼こまかひ見るほどの里もなきに
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あるはまたれてこそめくるめけ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
めくるめく砂の上で
海よ (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
酒折さかをりみや山梨やまなしをか鹽山ゑんざん裂石さけいし、さし都人こゝびとみゝきなれぬは、小佛こぼとけさゝ難處なんじよして猿橋さるはしのながれにめくるめき、鶴瀬つるせ駒飼こまかひるほどのさともなきに
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何がそこで起ったかは、主膳でさえも、怪しげな想像図にめくるめくほど、分っている。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酒折さかをりの宮、山梨の岡、塩山ゑんざん裂石さけいし、さしの名も都人ここびとの耳に聞きなれぬは、小仏こぼとけささ難処なんじよを越して猿橋さるはしのながれにめくるめき、鶴瀬つるせ駒飼こまかひ見るほどの里もなきに
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)