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真個
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まつたく
寐るなんて、……
寐るなんて、
何うしたんだらう。
真個、
気が
着いて
自分でも
驚いた。
白んで
来たもの。
何時の
間に
夜が
明けたか
些とも
知らん。
先生、
真個は
靱負と
言つて、
昔の
侍のやうな
名なんですが、
其を
其のまゝ
雪の
枝と
書いて、
号にして
居る
若輩ものです。
真個、
安心の
余り
気絶したんだと
断念めて、
許してくれ。
寐たんぢやない。
真個、この
暫時の
間は
稀有であつた。