病氣いたつき)” の例文
新字:病気
キヤツとさけびてたふるゝを、見向みむきもやらずとほりしは、いうにやさしきひとの、黄楊つげくしくちびるくはへしなり。うらぶれし良家りやうかむすめの、ちゝ病氣いたつきなるに、夜半よはへるみちなりけり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『珍らしや瀧口、此程より病氣いたつきの由にて予が熊野參籠の折より見えざりしが、僅の間に痛く痩せ衰へし其方が顏容かほかたち、日頃鬼とも組まんず勇士も身内の敵には勝たれぬよな、病は癒えしか』
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
此折このおりなにともおもはれず、めてかへりはとりでもべてと機嫌きげんられるほどものがなしく、すやうにして一さん家路いゑぢいそげば、けふこと/\くきてらうたゞ美尾みを病氣いたつきむねをいためぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
治承三年五月、熊野參籠の此方このかた、日に増しおもる小松殿の病氣いたつき
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)