異彩いさい)” の例文
こんどの荒木村重むらしげ退治の合戦にあたって、織田方に一異彩いさいを加えた手勢がある。九鬼嘉隆くきよしたかひきいる水軍だった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中に尤も東北の方に寄って一峯いっぽう特立とくりつすこぶる異彩いさいある山が見える。地理を案ずるに、キトウス山ではあるまいか。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
かれ平凡へいぼん宗助そうすけ言葉ことばのなかから、一種いつしゆ異彩いさいのある過去くわこのぞやう素振そぶりせた。しかしそちらへは宗助そうすけすゝみたがらない痕迹こんせきすこしでもると、すぐはなしてんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わつとつて、一同いちどう逆雪頽さかなだれ飛出とびだしたとおもふと、もと大廣間おほひろまで、儼然げんぜんとしてかべ異彩いさいはなつ。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ウバユリというのは異彩いさいを放ったユリで、もとはユリ属(Lilium)に入れてあったが、私はこれをユリ属から独立させて、Cardiocrinum なる別属のものとしている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)