生酔なまよい)” の例文
旧字:生醉
俊助しゅんすけ生酔なまよい大井おおいを連れてこの四つ辻を向うへ突切るには、そう云う周囲の雑沓ざっとうと、険呑けんのんな相手の足元とへ、同時に気を配らなければならなかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と云うと生酔なまよいも酔が覚め、腰が抜けてげる事が出来ませんで、いながら板塀の側にふるえておりますと、剣術遣いはジリ/\ッと詰寄って参ったから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
生酔なまよいらしい執拗さに、番頭はすっかり持て余しましたが、小腹が立ったものとみえて、手拭の山を後ろにかばうように、頑として平次の望みを断わり続けるのでした。
これから往く所があると偏袒かたはだぬぎとなり、着物の前をはだけ、酒樽をもつて暴れ出し、玄関にて仲間ちゅうげんどもを相手に打合ふ間、頭のぎりぎりより足の爪先まで生酔なまよいならぬ所なく
暫く私は門口に佇立たたずんで後姿を見送っておりますと、やがて生酔なまよい本性ほんしょうを顕して、急にすたすたと雪の中を歩いて行きました。見れば腰付こしつきから足元からそれ程酔ってはいないのです。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「何?大分いけますね……とおいでなさると、お酌が附いて飲んでるようだが、酒はもう沢山だ。この上は女さね。ええ、どうだい、生酔なまよい本性たがわずで、間違の無い事を言うだろう。」
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鉱山のお客だとか云う三人づれが、昨夜ゆうべから柳屋の奥に飲みあかしていて、今朝けさ早天そうてんから近所構わずに騒いでいたが、もう大抵騒ぎ草臥くたびれたと見えて、午頃ひるごろには生酔なまよい漸々だんだんに倒れてしまった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
九兵衛の眼ざしに、寺男の八助はまごついて、生酔なまよいの首を振りうごかしながら
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生酔なまよいのふりをした由良之助——由良之助——
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
直したり、とんだ生酔なまよいの芝居をしたが、——勘定を済まして、外へ出て振り返ると——
磯部の玄関にて生酔なまよい本性違はぬ処を示し、吾太夫を足蹴あしげにするも面白し。酒醒めし件にてひどく恐入おそれいらせ、ここへ詫に出る主計之助がやはり酒乱にて誤をなせりといふも照応して好し。
森「生酔なまよいが銭がねえと云うのを、番頭が困るって云ったら番頭を撲りやアがって」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
というのは生酔なまよい本性ほんしょうにたがわずで、なにかのはずみにふと、神経を起して
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生酔なまよいだな」と、半七は思った。