生延いきの)” の例文
逆徒ぎゃくと魁首かいしゅ天草四郎時貞を御討取遊ばされ、物数ものかずならぬそれがしまで恩賞に預り、宿望相遂げず、余命を生延いきのそろ
大原「実にどうも今日の御馳走で三年も生延いきのびるようです。家にいて例の塩から料理ばかり食べさせられては溜まりませんからね」と思わずでし愚痴ぐちの言葉を
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
美妙がもし裸蝴蝶時代に早世したなら必ず一代の大天才なるかのように天下を挙げて痛惜哀悼を惜まなかったろう。なまじい生延いきのび過ぎて最も気の毒な末路に終った。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
技術員たちより、一日か二日生延いきのびるだろうが、やがて、同じ運命に陥るのはわかり切っている。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
さうして各人かくじん正當せいたうをはりであるとするなれば、なんため人々ひと/″\邪魔じやまをするのか。かりにある商人しやうにんとか、ある官吏くわんりとかゞ、五ねんねん餘計よけい生延いきのびたとしてところで、れがなんになるか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
虹の目玉だ、やあ、八千年生延いきのびろ、と逆落さかおとしのひさしはづれ、鵯越ひよどりごえつたがよ、生命いのちがけの仕事と思へ。とびなら油揚あぶらげさらはうが、人間の手に持つたまゝを引手繰ひったぐる段は、お互に得手えてでない。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そうして各人かくじん正当せいとうおわりであるとするなれば、なんため人々ひとびと邪魔じゃまをするのか。かりにある商人しょうにんとか、ある官吏かんりとかが、五ねんねん余計よけい生延いきのびたとしてところで、それがなんになるか。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)