物真似ものまね)” の例文
旧字:物眞似
この中でよく人語を解し、物真似ものまねをするのはオオキボウシインコ、アオボウシインコ、コバタン、オオバタン、モモイロインコである。
獏鸚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その頃の書生は今の青年がオペラやキネマへ入浸いりびたると同様に盛んに寄席よせかよったもので、寄席芸人の物真似ものまねは書生の課外レスンの一つであった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
でなければ物真似ものまねの道化に尽きていた為に、こうした密夫みそかおの狂言などに、たのまれるような前代の名優の仕残した型などは、微塵みじんも残っていなかった。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ええ、ええ、ええ、うかがいます。お話はお馴染なじみの東京世渡草よわたりぐさ商人あきんど仮声こわいろ物真似ものまね。先ず神田辺かんだへんの事でござりまして、ええ、大家たいけ店前みせさきにござります。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして、それと関聯して、寄席の芸人が物真似ものまねをする、蝦蟇がま膏売あぶらうりの、滑稽なようでいて、どことなく物凄い妙な口上が、耳元に浮かんで来た。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
物真似ものまねに帰着する。もとより我々は物真似が好きに出来上っているから、しても構わない。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それはたいした景気でさあね。……大名行列もふんだんに見られ、河開かわびらきにはポンポンと幾千の花火が揚がるんですよ。それより何より面白いのは歌舞伎かぶき狂言物真似ものまねでしてね。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
得意の警句や物真似ものまねなどを出し惜しみせずに連発して、皆を笑わせると云う風であった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
これに拠りますと、彼らの職業は主として狩猟でありまして、常に弓馬に熟し、また剣舞の様な事、大神楽だいかぐらの様な事、人形舞わし・物真似ものまね手品使てじなつかいの類、種々の伎芸をやっておった。
名古蝶なこちょう八の物真似ものまね一座を筆頭に辻能つじのう豊後節ぶんごぶしの立て看板。野天のでんをみると、江戸のぼりの曲独楽きょくごま志道軒しどうけんの出店。そうかと思うと、呑み棒、飴吹あめふき、ビイドロ細工、女力士と熊の角力すもうの見世物などもある。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では、ひとつ、物真似ものまねてやつを、御安直にお聞きに達します」
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「江戸の少長は、評判倒れの御仁じゃ、もっとも江戸と京とでは評判の目安も違うほどに江戸の名人は、京の上手にも及ばぬものじゃ。所詮しょせん物真似ものまね狂言は都のものと極わまった」
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
お話はお馴染なじみの東京世渡草よわたりぐさ商人あきんど仮声こわいろ物真似ものまね。先ず神田辺かんだへんの事でござりまして、ええ、大家たいけの店さきでござります。のしらしらあけに、小僧さんが門口かどぐちを掃いておりますと、納豆納豆——
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あはゝゝゝ、馬鹿、その方物真似ものまね上手じょうずではないか。鳥の真似、蟲の真似、獣の真似、人間の真似、———き声でも、身振でも、何でも真似る。中々その方は器用だぞ。さ、是非あれをやれ」