爺婆じじばば)” の例文
……勝則君、白状するが、わしの家内も恋女房こいにょんぼでな、若いころ、いろいろ、あったとばい。どっちも、爺婆じじばばになってしもうたばって。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
この魚市場に近い、本願寺別院—末寺ととなえる大道場へ、山から、里から、泊りがけに参詣さんけいする爺婆じじばばが、また土産にも買って帰るらしい。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たちまち爺婆じじばばは大金持になったというような、心地よい話になっていて、これにもまた土地によってちがいがあるのである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「相手はあの若僧ひとりあとは老いぼれの爺婆じじばばだけだ、こっちは大阪陣に抜刀斬込み隊で戦った豪傑だぞ、押し込もう」
馬鹿な私は、本当の両親を爺婆じじばばとのみ思い込んで、どのくらいの月日をくうに暮らしたものだろう、それをかれるとまるで分らないが、何でも或夜こんな事があった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
実はあの岡の上にいる爺婆じじばばを逐い除けて
いやか、爺婆じじばばるから。……そうだろう。あんな奴は、今におれがたたき殺してやろう、と恐ろしく意気込んで、飛上って、高いえだの桃の実をひんもぎって一個ひとつくれたんだ。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つまらねえことを父爺ちゃんいうもんじゃあねえ、山ン中の爺婆じじばばでも塩したのを食べるッてよ。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それも小児こども爺婆じじばばならまだしも、取って十九という妙齢としごろの娘の事でございますから。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
馬鹿にしている、……此奴こいつは高利貸か、烏金からすがねを貸す爺婆じじばばだろうと思ったよ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
近頃は爺婆じじばばの方が横着おうちゃくで、嫁をいじめる口叱言くちこごとを、お念仏で句読くとうを切ったり、膚脱はだぬぎうなぎくし横銜よこぐわえで題目をとなえたり、……昔からもそういうのもなかったんじゃないが、まだまだ胡散うさんながら
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
若い者に爺婆じじばば交りで、泊の三衛門さんねむが百万遍を、どうでござりましょう、この湯治場へ持込みやがって、今に聞いていらっしゃい隣宿で始めますから、けたいが悪いじゃごわせんか、この節あ毎晩だ
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)