燈影ひかげ)” の例文
新字:灯影
やがて、細目にそっとあけると、左は喜兵衛の伝ったかた、右は空室あきま燈影ひかげもない。そこからかくに折れ曲って、向うへ渡る長廊下。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
広間の燈影ひかげは入口に立てる三人みたりの姿をあざやかに照せり。色白のちひさき内儀の口はかんの為に引歪ひきゆがみて、その夫の額際ひたひぎはより赭禿あかはげたる頭顱つむりなめらかに光れり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
玄関の障子に燈影ひかげしながら、格子こうし鎖固さしかためたるを、車夫は打叩うちたたきて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
くツきりとした頸脚えりあしなが此方こなたせた後姿うしろすがたで、遣水やりみづのちよろ/\と燈影ひかげれてはしへりを、すら/\薄彩うすいろ刺繍ぬひとりの、數寄すきづくりの淺茅生あさぢふくさけつゝ歩行ひろふ、素足すあしつまはづれにちらめくのが。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それらしい燈影ひかげうつらぬ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)