“炊事(すゐじ)” の例文
鐵砲玉(てつぱうだま)は麥藁(むぎわら)の籠(かご)へも入(い)れられた。與吉(よきち)はそれを大事相(だいじさう)に持(も)つては時ゝ(とき/″\)覗(のぞ)きながら、おつぎが炊事(すゐじ)の間(あひだ)を大人(おとな)しくして坐(すわ)つて居(ゐ)るのであつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
賄(まかなひ)は遙か半町も離れた二階下の臺所に行かなければ一人もゐない。病室では炊事(すゐじ)割烹(かつぱう)は無論菓子さへ禁じられてゐる。況(ま)して時ならぬ今時分何しに大根卸(だいこおろし)を拵(こしら)えやう。
変な音 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
下女のお紺は二十二三、少し足(た)りない女とは聽きましたが、全くの白痴(はくち)で、使ひ走りも覺束なく、炊事(すゐじ)と掃除が精一杯、こんなのは反つて、お妾の下女には打つてつけかも知れません。
自分(じぶん)は炊事(すゐじ)の間(ま)を缺(か)かすことが出來(でき)ないのとで晝餐(ひる)でも晩餐(ばん)でも他人(ひと)より早(はや)く歸(かへ)つて來(こ)なければならない。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
三ヶ日(にち)は與吉(よきち)も穢(きたな)い衣物(きもの)を棄(す)てゝ、おつぎも近所(きんじよ)で髮(かみ)を結(ゆ)うて炊事(すゐじ)の時(とき)でも餘所行(よそゆき)の半纏(はんてん)に襷(たすき)を掛(か)けて働(はたら)いた。勘次(かんじ)は三ヶ日(にち)さへ全然(まる/\)安佚(あんいつ)を貪(むさぼ)つては居(ゐ)なかつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)