満天まんてん)” の例文
旧字:滿天
満地まんち満天まんてんに木々の落葉おちばをふき巻くりあれよと見るまに、咲耶子は砂塵さじんをかおに吹きつけられて、あ——とまなこをつぶされてしまう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにあのとき空模様そらもようあやしさ、赭黒あかぐろくもみねが、みぎからもひだりからも、もくもくとむらがりでて満天まんてんかさなり、四辺あたりはさながら真夜中まよなかのようなくらさにとざされたとおももなく
そも/\此日や秋季皇霊祭にして満天まんてん晴朗せいらう、世人はさだめて大白をげて征清軍しんぐん大勝利だいしやうりしゆくするならん、余等一行も亦此日水源すいげん確定かくていするを得、帝国万歳のこえは深山にひびわたれり、水源の出処すであきらかなれば
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
人形にんぎょうの紙をみ神光あかしで焼くこと七たび、かくして、十ぽう満天まんてんの星をいのりますれば、兇難きょうなんたちどころに吉兆きっちょうをあらわして、どんな大敵にいましょうとも
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浜松城はままつじょうのお使者番ししゃばんは、満天まんてんほしにくるまれたかく尖端せんたん擬宝珠ぎぼうしゅのそばで、手放てばなしに大声あげて泣いていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)