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満天
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まんてん
満地満天に木々の
落葉をふき巻くりあれよと見るまに、咲耶子は
砂塵をかおに吹きつけられて、あ——と
眼をつぶされてしまう。
それにあの
時の
空模様の
怪しさ、
赭黒い
雲の
峰が、
右からも
左からも、もくもくと
群がり
出でて
満天に
折り
重なり、
四辺はさながら
真夜中のような
暗さに
鎖されたと
思う
間もなく
抑此日や秋季皇霊祭にして
満天晴朗、世人は
定めて大白を
挙げて征
清軍の
大勝利を
祝するならん、余等一行も亦此日
水源を
確定するを得、帝国万歳の
声は深山に
響き
渡れり、水源の出処
既に
明なれば
人形の紙をみ
神光で焼くこと七たび、かくして、十
方満天の星をいのりますれば、
兇難たちどころに
吉兆をあらわして、どんな大敵に
遭いましょうとも
浜松城のお
使者番は、
満天の
星にくるまれた
閣の
尖端、
擬宝珠のそばで、
手放しに大声あげて泣いていた。