浮雲うきぐも)” の例文
空には今日も浮雲うきぐも四抹しまつ、五抹。そして流行着のマネキンを乗せたロンドンがよいの飛行機が悠長ゆうちょうに飛んで行く。
巴里の秋 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
天気のよい時白帆しらほ浮雲うきぐもと共に望み得られる安房上総あはかづさ山影さんえいとても、最早もは今日こんにちの都会人には花川戸助六はなかはどすけろく台詞せりふにも読込まれてゐるやうな爽快な心持を起させはしない。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
敵のボーイング機隊が、北方に流れる浮雲うきぐもの中から現われて、これを圧迫する態度を示した。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かつ私が二葉亭と最も深く往来交互したのは『浮雲うきぐも』発行後数年を過ぎた官報局時代であって幼時及び青年期を知らず、更に加うるに晩年期には互いに俗事にわずらわされて往来ようやうと
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
『あゝ、何故なぜ此樣こん不運ふうん出逢であつたのであらう。』とわたくし昨夜さくやうみひたつて、全濡びつしよりになつたまゝ黎明あかつきかぜさむさうふるへてる、日出雄少年ひでをせうねんをばひざ抱上いだきあげ、いましも、太陽たいやう暫時しばし浮雲うきぐもかくれて
馬琴物ばきんものから雪中梅型せっちゅうばいがたのガラクタ小説に耽溺たんできして居た余に、「浮雲うきぐも」は何たる驚駭おどろきであったろう。余ははじめて人間の解剖室かいぼうしつに引ずり込まれたかの如く、メスの様な其筆尖ふでさきが唯恐ろしかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
天気のよい時白帆しらほ浮雲うきぐもと共に望み得られる安房あわ上総かずさ山影さんえいとても、最早もはや今日の都会人には花川戸助六はなかわどすけろく台詞せりふにも読込まれているような爽快な心持を起させはしない。