ぬか)” の例文
「好いお湿しめりだ、と言いてえが、これじゃあ道路みちぬかるんでやりきれねえ。いや、降りやがる、ふりやがる——豪気なもんだ。」
その上軌道レールの上はとにかく、両側はすこぶるぬかっている。それだのに初さんはちゅうぱらでずんずん行く。自分も負けない気でずんずん行く。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この時、がやがや家の中がさわがしくなって、ちょうど祖母のひつぎが出る処であった。ぬかる田圃道を白い幕の廻された柩が、雨風にひらひらと揺られながら行った。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
雪融ゆきどけの道がはげしくぬかったりする時は、着物をらさなければならず、足袋たびの泥を乾かさなければならない面倒があるので、いかな小六も時によると、外出を見合せる事があった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでもつめたいあめよこつたり、雪融ゆきどけみちがはげしくぬかつたりするときは、着物きものらさなければならず、足袋たびどろかわかさなければならない面倒めんだうがあるので、如何いか小六ころくときによると
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)