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泡沫
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うたかた
ふりがな文庫
“
泡沫
(
うたかた
)” の例文
「さあれ、十年と経てば、この水のように、
淙々
(
そうそう
)
と、すべては
泡沫
(
うたかた
)
の跡形もない。——平家の、源氏のと、憎しみおうた人々の戦の跡には何もない」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
行
(
ゆく
)
尿
(
しし
)
の流れは臭くして、しかも尋常の水にあらず、
淀
(
よど
)
みに浮ぶ
泡沫
(
うたかた
)
は、かつ消えかつ結びて、
暫時
(
しばし
)
も
停
(
とど
)
まる事なし、かの「
五月雨
(
さみだれ
)
に年中の雨降り尽くし」と
吟
(
よ
)
んだ通り
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
吾等
(
われら
)
も
何時
(
いつ
)
救
(
すく
)
はるゝといふ
目的
(
めあて
)
もなく、
浪
(
なみ
)
に
揉
(
も
)
まるゝ
泡沫
(
うたかた
)
のあはれ
果敢
(
はかな
)
き
運命
(
うんめい
)
とはなつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
いつしかに太い筋綱に
縒
(
よ
)
り合わさって、いやいや
吾
(
わ
)
が身ひとの身なんどは夢幻の池の
面
(
も
)
にうかぶ
束
(
つか
)
のまの
泡沫
(
うたかた
)
にしか過ぎぬ、この怖ろしい
乱壊転変
(
らんえてんぺん
)
の
相
(
すがた
)
こそ何かしら新しいものの
息吹
(
いぶ
)
き
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
世界は
泡沫
(
うたかた
)
である。人生は
束
(
つか
)
の間に過ぎない。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
▼ もっと見る
途
(
つひ
)
に
泡沫
(
うたかた
)
の
儚
(
はかな
)
さです。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
水の色、
香
(
かを
)
る
泡沫
(
うたかた
)
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
泡沫
(
うたかた
)
か
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
川のなかばを越えるやいな、白い死線のしぶきが描かれ、みるまに、騎馬歩兵、次々に
泡沫
(
うたかた
)
となって消えうせる。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつしかに太い筋綱に
縒
(
よ
)
り合はさつて、いやいや
吾
(
わ
)
が身ひとの身なんどは夢幻の池の
面
(
も
)
にうかぶ
束
(
つか
)
のまの
泡沫
(
うたかた
)
にしか過ぎぬ、この怖ろしい
乱壊転変
(
らんえてんぺん
)
の
相
(
すがた
)
こそ何かしら新しいものの
息吹
(
いぶ
)
き
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
もう
泡沫
(
うたかた
)
の中に
覆
(
くつがえ
)
されて、たちまち浮きつ沈みつ流されてゆく武者の影が続出していた。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……ウウム、あなたは景帝の
裔孫
(
えいそん
)
だったのか。治乱興亡の長い星霜のあいだに、名門名族は
泡沫
(
うたかた
)
のように消えてゆくが、血は一滴でも残されればどこかに伝わってゆく。ああ有難い。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう濁流にせかれる花と
泡沫
(
うたかた
)
の明滅みたいに、白い素足やら夜風のなかの
被衣
(
かずき
)
、また、みだれにまかす黒髪などが、むかし
薔薇園
(
しょうびえん
)
とよばれた六波羅
北苑
(
ほくえん
)
の木戸から東山のほうへ落ちて行き
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とまれ僕だけでなく作家それぞれ万華百態な作品をマスコミのながれの中に書き送り、また
泡沫
(
うたかた
)
のように消えるは消え、残るは残されてゆきましょうが、その奉行はもっぱら読者がしているのです。
親鸞の水脈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
憂
(
う
)
しと観るべきか。また、くだらぬ
泡沫
(
うたかた
)
と観るべきか。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“泡沫”の意味
《名詞》
泡 沫(ほうまつ、うたかた)
儚いもの。
(ほうまつ)異常な好景気。バブル。
(ほうまつ)影響力の非常に弱いもの。存在意義の希薄なもの。
(ほうまつ)泡沫候補、泡沫政党の略。
(出典:Wiktionary)
泡
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
沫
漢検準1級
部首:⽔
8画
“泡沫”で始まる語句
泡沫夢幻
泡沫玉
泡沫銭