求食あさ)” の例文
鶏が、その庭に、純日本種の鶏や矮鶏チャボがココココと求食あさり求食りしてあちこちしていた。それを見て私は何とない微笑の頬にのぼるのを禁じ得なかった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「鶴が鳴き葦辺をさして飛び渡るあなたづたづしひとりれば」(三六二六)、「沖辺より潮満ち来らしからの浦に求食あさりする鶴鳴きて騒ぎぬ」(三六四二)等の歌があり
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
畑に来て何かを求食あさりつつある雉子の声は、前の句より更に人に近い親しさを持っている。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
さてその翌朝あけのあさ、聴水は身支度みじたくなし、里のかたへ出で来つ。此処ここの畠彼処かしこくりやと、日暮るるまで求食あさりしかど、はかばかしき獲物もなければ、尋ねあぐみてある藪陰やぶかげいこひけるに。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
隣の白孔雀のやうな七面鳥が、番ひで、私たちのまはりを求食あさつてあるく。かうした楽しみは壊れ家に住む私たちで無ければ味はへまい。まことに長閑な日常である。
孟宗と七面鳥 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そはともあれわれ今日は大王の御命おおせを受け、和主を今宵招かんため、今朝けさより里へ求食あさり来つ、かくまで下物さかなは獲たれども、余りにかさ多ければ、独りにては運び得ず、思量しあんにくれし処なり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
そういう水田に雁鴨その他の鳥が何か求食あさりに下りる。それを目がけてしきりに鉄砲を撃つ。蕭条たる冬の里には日々何事もなく、ただ水田にこだまする鉄砲の音が聞えるのみだというのであろう。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
さは云へど米のしら玉、貧しとてすべな白玉、その玉を雀子も欲れ、ひもじきは誰もひとつよ、雀子も来ては覗き、饑ゑて鳴き、鳴きては遊び、遊びては求食あさり、求食あさるを、米の玉あはれ。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
心魂こころも今は空になり、其処そこ此処ここかと求食あさるほどに、小笹おざさ一叢ひとむら茂れる中に、ようやく見当る鼠の天麩羅てんぷら。得たりと飛び付きはんとすれば、忽ち発止ぱっしと物音して、その身のくびは物にめられぬ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
さは云へど米のしら玉、貧しとてすべな白玉、その玉を雀子も欲れ、ひもじきは誰もひとつよ、雀子も来ては覗き、饑ゑて鳴き、鳴きては遊び、遊びては求食あさり、求食あさるを、米の玉あはれ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
┌ぬかるみの中に求食あされど白鶴はさびしいかなや音をのみぞ啼く (原作)
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
└春泥の上に求食あされど腰ほそく清らなるかな鶴の姿は (改作)
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
求食あさり、物求食あさり、寄りも來る
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
くるしげににく求食あさりぬ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)