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水筋
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みづすぢ
小雨のかゝるやうに、
水筋が
立つほど、
幾らでも、といふ……
半から、
緑蝶夫人は
気を
籠めて、
瞳を
寄せ、もう
一人は
掌をひら/\
動かし、じり/\と
卓子台に
詰寄ると
されば
水筋の
緩むあたり、
水仙の
葉寒く、
花暖に
薫りしか。
刈あとの
粟畑に
山鳥の
姿あらはに、
引棄てし
豆の
殼さら/\と
鳴るを
見れば、
一抹の
紅塵、
手鞠に
似て、
輕く
巷の
上に
飛べり。