水田みづた)” の例文
池や水田みづたや水溜りの沈んだ水のおもてに、浮き雲の動く影が、動かない木立と花との反映の中に溶け込んで行く。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
えだ々のなかの水田みづたみづがどむよりしてよどむでるのに際立きはだつて真白まつしろえるのはさぎだつた
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かはづ水田みづたでおはやしだ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
しかしまた田圃たんぼづたひに歩いてうち水田みづたのところ/″\にはすの花の見事に咲き乱れたさまをなが青々あを/\したいねの葉に夕風ゆふかぜのそよぐひゞきをきけば、さすがは宗匠そうしやうだけに
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
やなぎおくに、けて、ちひさな葭簀張よしずばり茶店ちやみせえて、よこ街道かいだう、すぐに水田みづたで、水田みづたのへりのながれにも、はら/\燕子花かきつばたいてます。はうは、薄碧うすあをい、眉毛まゆげのやうな遠山とほやまでした。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
浅草公園に向ふ南側千束町せんぞくまち三丁目を除いて、その他の三方にはむかしのまゝの水田みづたや竹藪や古池などが残つてゐたので、わたくしは二番目狂言の舞台で見馴れた書割
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)