)” の例文
旧字:
与次郎の説によると、あの女はの気味だから、ああしじゅう歯が出るんだそうだが、三四郎にはけっしてそうは思えない。……
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
本堂と庫裡とをつなぐ板敷の間で、ずば抜けて背のひよろ長い、顔も劣らずに馬面うまづらの、真白なのすぐ目につく男が突立つてゐた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
それはいかにも適切てきせつなことばであったが、コトエはそれでなぐさめられ、気持が明かるくなったらしい。少しの大きな前歯をよけいむきだして
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
どこか隙の多さうな醜い女ぢやないかと、少し斜視掛つたその女の眼を見てゐたが、しかし女中の方はで鼻の頭がまるく、おまけに色が黒かつた。
六白金星 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)
そいつが出刃包丁でばぼうちょうくわえた女の生首なまくび刺青ほりものの上に、俺達の太股ももぐらいある真黒な腕を組んで、俺の寝台ねだいにドッカリと腰をおろしてをグッとき出したもんだ。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
うすら禿の頭の地まで真赤にし、ぱっぱと唾をの合間から撥きだしながら、そんなにも昂奮してみせるのであるが、じつはこの父親も、一度は眼鏡屋を訪れてみたのであった。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
コウノトリの巣のふちには、灰色のフクロウが二と、灰色のしまのある年とったネコが一ぴきと、で、目のショボショボしたいぼれネズミが十二ひきもいっしょにいるのですもの。
麦藁帽子むぎわらぼうし手拭てぬぐいしばりつけた頭の下から、真赤にいきんだ顔が、八分通り阿蘇卸あそおろしに吹きつけられて、喰い締めたの上にはよなが容赦なく降ってくる。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だが、そのひきしめたつもりの口もとにはあの真白い偉大ながのぞいてゐた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
美禰子の顔で尤も三四郎をおどろかしたものは眼付めつき歯並はならびである。与次郎の説によると、あの女はの気味だから、あゝ始終が出るんださうだが、三四郎には決してさうは思へない。……
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)