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此雪
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このゆき
囲炉裡に
焚火をしてお
当んなさいまし、お
困んなすつたらう
此雪では、もう
此近は
辺僻でございまして
御馳走するものもございません。
傾けて
見返るともなく
見返る
途端目に
映るは
何物蓬頭亂面の
青年車夫なりお
高夜風の
身にしみてかぶる/\と
震へて
立止りつゝ
此雪にては
当時罰が
中つて
斯ういふ
身分に
零落れ、
俄盲目になりました、
可愛想なのは
此子供でございます、
何んにも
存じませぬで、
親の
因果が子に
𢌞りまして、
此雪の
降る
中を
跣足で歩きまして