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此兒
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このこ
『
此兒を
私の
弟子にするといふのですか
貴樣は?
途方もないこと、
此兒が
私の
師匠だ、
私が
此兒に
習いたい
位だ!』
元來一
腹一
對の
中に
育ちて
他人交ぜずの
穩かなる
家の
内なれば、さして
此兒を
陰氣ものに
仕立あげる
種は
無けれども、
性來をとなしき
上に
我が
言ふ
事の
用ひられねば
兎角に
物のおもしろからず
次の
日も
次の
日も、
此兒の
影は
學校に
見えない。