ただし)” の例文
父母寵愛してほしいままそだてぬれば、おっとの家に行て心ず気随にて夫にうとまれ、又は舅のおしただしければ堪がたく思ひ舅をうらみそしり、なか悪敷あしく成て終には追出され恥をさらす。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
貫一は篤学のみならず、性質もすぐに、おこなひただしかりければ、この人物を以つて学士の冠をいただかんには、誠に獲易えやすからざる婿なるべし、と夫婦はひそかに喜びたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
汽車は早くも大船おほふなに着けり、一海軍将校、鷹揚おうやうとして一等室に乗り込みしが、たちまち姿勢をただしうして「侯爵閣下」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
人物 爾薩待にさつたい ただし 開業したての植物医師
植物医師:郷土喜劇 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ただしの顔が大きくかんで消えた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
局留置 須原すはら ただし
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
極潔ごくきよいお方なので、精神的にきずついたところの無い御人物、さう云ふ方に対して我々などの心事を申上げるのは、実際恥入る次第で、言ふ事は一々曲つてゐるのですから、ただし
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
されども、懇意と謂ふも、手伝と謂ふも、皆いつはりならんとは想ひぬ。ただしき筋の知辺しるべにはあらで、人の娘にもあらず、又貫一が妻と謂ふにもあらずして、深き訳ある内証者なるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)