正当せいとう)” の例文
旧字:正當
全能ぜんのう全力ぜんりょく正当せいとうにつくしてみて、それでもやぶれれば、まことに是非ぜひのないわけだ。男らしく、一とうの人の前へでて、つみしゃするよりほかにみちはない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こう大将たいしょうは、とても正当せいとうちからではおつ軍勢ぐんぜいふせぐことができない、そうして降参こうさんしなければならないとおもいましたから、これはなにか策略さくりゃくめぐらして、おつ兵隊へいたい
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうして各人かくじん正当せいとうおわりであるとするなれば、なんため人々ひとびと邪魔じゃまをするのか。かりにある商人しょうにんとか、ある官吏かんりとかが、五ねんねん余計よけい生延いきのびたとしてところで、それがなんになるか。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その治安維持法という法律ほうりつ違反いはんした行動のために、牢獄ろうごくにつながれ、まもなく出てきてからも復職ふくしょくはおろか、正当せいとうなあつかいもうけていないということだけが、その法律とつないで考えられた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
正当せいとう武芸ぶげいとはいわれぬ、幻術げんじゅつ遠駆とおがけなどの試合しあい提示ていじしてきたのを見ると、一同は、かれらのひきょうな心底しんてい観破かんぱして、一ごんのもとに、それをはねつけようと思った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まかりちがって、正当せいとうなやくそくのもとに試合しあいして、どうどうと、かれに咲耶子さくやこを持ってゆかれるようなことがあった日には、それこそ石見守いわみのかみ立場たちばがない。かれの失態しったいはなんとしてもまぬがれない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)