横槍よこやり)” の例文
「百もご承知、お前さんは、縮緬ちりめんぞッきじゃいるけれど、辻斬りかせぎの荒事師あらごとし——、そう知ったからこそ横槍よこやりを入れたのさ。悪かったかい」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ちょっと見は将軍様の令嬢だが、鼻が皆ぺちゃんこだあ!」そばへやって来た百姓が、ふいに一杯機嫌で横槍よこやりを入れた。
おとうさんが一寸ちょっとなつかしさうなへうきんな調子の横槍よこやりをいれましたがかえつておかあさんの息つぎにそれがなりました。
秋の夜がたり (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
「そりゃあ君、確かに新聞記者なぞを為ているせいだよ」と西が横槍よこやりを入れた。「してみ給え——新聞を長く書いてると、きっとそういう病気にかかる」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
すると男の人達は、その最後に云つた二つの點をもつとはつきりさせてくれと一生懸命になつて横槍よこやりを入れた。
「それこそ袋のなかに入るも同然、帰路を絶たれたらどうです?」まじめに横槍よこやりを入るるは候補生の某なり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
すると三浦もさかずきを含みながら、『それ見るがい。おれがいつも云う通りじゃないか。』と、からかうように横槍よこやりを入れましたが、そのからかうような彼のことば
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
寂寞じゃくまくたる空山くうざんの夕べを、ひとり山上に歩み行くのですから、何を歌おうと、あえて干渉する者はないのですが、習い性となって、ふと弁信からの横槍よこやりをおそれ
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし、この御幸は思わぬところから横槍よこやりが入って一時延期された。厳島神社に先をこされた叡山衆徒の憤激である。面子めんつをつぶされた衆徒どもは、先例をたてにとった。
置碁の定石じょうせきの御手本通りのやりかたで、地どり専門、横槍よこやりを通すような打方はまったくやらぬ。こっちの方がムリヤリいじめに行くのが気の毒なほど公式的そのものの碁を打つ。
真の罪人と思い詰ての事なれば余は椅子より飛上り「おや/\奥さん、それでは藻西太郎を本統の犯罪人と思召おぼしめすのですか、ヱ貴女」細君は不意の横槍よこやりに少し驚きし如くなりしも
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
今度はガラッ八が横槍よこやりを入れます。
「喜多村先生のお供はかなわない。」とその時、十一屋の隠居が横槍よこやりを入れた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
突然横槍よこやりを入れたのは、飯沼いいぬまという銀行の支店長だった。
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)