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横撫
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よこなで
狭き土間、貧しき
卓子に向って腰掛けたる人形
使——
辺栗藤次、鼻の下を
横撫をしながら言う。うしろ向のままなり。
南無三宝と
呆気に取られて、目を
睜った鼻っ先を、
件の蝙蝠は
横撫に一つ、ばさりと当てて
向へ飛んだ。
めくら縞の襟の
剥げた、袖に
横撫のあとの光る、同じ紺のだふだふとした
前垂を首から下げて、千草色の
半股引、膝のよじれたのを
捻って
穿いて、ずんぐりむっくりと
肥ったのが
ともはや
頸のあたりがむずむずして来た、
平手で
扱て見ると
横撫に蛭の
背をぬるぬるとすべるという、やあ、乳の下へ
潜んで帯の間にも一
疋、
蒼くなってそッと見ると肩の上にも一筋。
と
最早や
頷のあたりがむづ/\して
来た、
平手で
扱て
見ると
横撫に
蛭の
背をぬる/\とすべるといふ、やあ、
乳の
下へ
潜んで
帯の
間にも一
疋、
蒼くなつてそツと
見ると
肩の
上にも一
筋。
と先生は、
肘で口の
端を
横撫して