くだり)” の例文
新字:
その六の卷なるエネエアスがキユメエのみこに導かれて地獄に往くくだりに至りて、我はその面白さに感ずること常に超えたり。こはダンテの詩に似たるがためなり。
蒯通くわいてつが韓信に説くくだりに、骨と肉と氣との事を談じて居るが、人の骨組肉置しゝおきの外に氣といふものが見える。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
教授自らの屬する國民——露西亞人の性格を論じたくだりに引用した、一外國旅行家の記述の一節である。
我が最近の興味 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
(第六回、打製類のくだり及び第八回、貝殼器の條を見よ。)繪具の原料とおもはるる赤色あかいろ物質のかたま
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
三番叟さんばそうすひもので、熱燗あつかん洒落しやれのめすと、ばつ覿面てきめん反返そりかへつた可恐おそろしさに、恆規おきてしたが一夜いちや不眠ふみん立待たちまちして、おわびまをところへ、よひ小當こあたりにあたつていた、あだ年増としまがからかひにくだりである。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
諸國から牢人や武者修業共が駈け加つて働いたといふくだりもある。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
姫と作譜者と對して歌ふとき相代りて姫男の聲になり、男姫の聲になるくだりあり。