柳生やぎゅう)” の例文
一飯一睡をると、夜はまだ暗かったが、甚内主従は野陣をたたんで、また伊賀路へ急ぎ出した。その日の道は、奈良、柳生やぎゅう相楽さがらと駈けた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柳生やぎゅう家から免許を取ることになり、二年の予定で江戸屋敷へいっていたもので、兄の死によって免許は取れなかったが教授の腕は充分にあった。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
柳生やぎゅう、心蔭といったような各流儀にわたっており、それぞれの名人たちの道場をも踏んで来た人ですけれども、竜之助さんの剣術というものは
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし広太郎豚児とんじではない。剣道にかけては柳生やぎゅう流の免許、大力だいりきではないがわざには達し、据え物斬りでは名人である。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大和でも柳生やぎゅう地方、及び四国西部の東宇和郡の山村などは、このニュウナイのことをイタクラスズメといっている。
将軍家お指南番役たる柳生やぎゅうの道場を筆頭にして、およそ剣道指南と名のつく末流もぐりの類までも合算していったら、優に三十カ所以上の数でしたから
甲州流や柳生やぎゅう流ではあるまいし、小説には、一子相伝の巻物もなければ、他人に見せない秘術書もない。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
柳生やぎゅうの里から応援に江戸入りした高大之進こうだいのしんを隊長とする一団、大垣おおがき郎右衛門ろうえもん寺門一馬てらかどかずま喜田川頼母きたがわたのも駒井甚こまいじんろう井上近江いのうえおうみ清水粂之介しみずくめのすけら二十三名の柳門りゅうもんり抜きの剣手は、麻布本村町あざぶほんむらちょう
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あなたは柳生やぎゅう十兵衛のつもりでいなさい。私は大久保彦左衛門の役を買います。お兄さんは、但馬守たじまのかみだ。かならず、うまくいきますよ。但馬守だって何だって、彦左の横車には、かないますまい。」
帰去来 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ことに、相手が対等の士人でなくして、自分の家に養われた奴僕ぬぼくであることを知ると、少年の心は、無念のいきどおりに燃えた。彼は即座に復讐の一義を、肝深く銘じた。彼は、馳せて柳生やぎゅうの道場に入った。
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「けれど、大和やまと柳生やぎゅうの大殿様でも、誰でも、お通さんのことはめるぜ。……ただおいらにいわせれば、いけないことがひとつあるけれど」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柳生やぎゅうと相並んで、徳川将軍の師範をつとめたほどの名人で、その子小野治郎左衛門忠常が小野派一刀流、伊藤典膳忠也ただなりが忠也派一刀流を打出し
右にすきあるごとく見ゆるときは左に真のすきあり——柳生やぎゅうの大先生が名言をおっしゃっていらあ。捕物だっても、剣道だっても、極意となりゃ同じなんだッ。
代二郎は十五歳の年に江戸へゆき、聖坂ひじりざかの学問所へ通学するかたわら、柳生やぎゅうの道場でも五年のあいだ修業した。久良馬は三年まえから柳生の道場へ入門していた。
初夜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
愚老は浪人天草時行あまくさときゆき。以後はな、どうぞ別懇に……、それはそうと、広太郎殿、剣は柳生やぎゅうを学ばれたな。立派なもので、よい気合だ。愚老すっかり感心いたした。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さきごろまでは柳生やぎゅう谷や泉州の辺りをうろついていたが、ついゆうべ、ぶらりと都へやって来てな、さるお方のおやかたで、ちらとに落ちぬ沙汰を耳にしたので
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
学問は聖坂ひじりざかへかよいましたし、武芸は道場が近いので柳生やぎゅうさまでした、聖坂へはいまでも、ときどき日講を聞きにゆくようですが、どちらも成績はよかったようで
末っ子 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
保馬は江戸邸の次席家老の子で、その名は国許くにもとでもかなりまえから知られていた。俊才で美男で、学問も群を抜いているし、柳生やぎゅう道場では三傑の一という、あつらえたような評判であった。
いしが奢る (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「徳川様へ抱えられた柳生やぎゅう様は江戸で、一万一千五百石だって。ほんと?」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう、毎日は、わしが来られないから、当分、野天稽古としよう。……ただし、わしの稽古は、柳生やぎゅうや町の師匠などより、うんと手荒いぞ。——下手へたをすれば、片輪もできる。死人もできる。それを
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、綾部大機あやべだいきは、柳生やぎゅうの門に立った最初に、まず広言をはらって
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柳生やぎゅうの城のある柳生谷——
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)