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染拔
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そめぬき
帶は
一重で
左の
腰骨の
處でだらりと
結んであつた。
兩方の
端が
赤い
切で
縁をとつてある。
粗い
棒縞の
染拔でそれは
馬の
飾りの
鉢卷に
用ひる
布片であつた。
告れば是さへ喜びて
忽地心地は能く成けり忠兵衞
直に
結納を
揃へる中に其日は
暮行き
明日朝の
間に品々を
釣臺三
荷に
積登せ我家の
記章染拔たる大紋付の
半纒を
と成され印を
据し一書を下し
置れ短刀は
淺黄綾の
葵の
御紋染拔の
服紗に
包て下されたり。