本陣ほんじん)” の例文
はやし林学士を統領とうりょうとして、属員ぞくいん人夫にんぷアイヌ約二十人、此春以来此処ここ本陣ほんじんとして、北見界きたみざかいかけ官有針葉樹林しんようじゅりんの調査をやって居るのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
この人の説明によると旧幕の頃には三島とか沼津とかという宿しゅくには本陣ほんじんといって、大名の泊る宿屋が必ず二軒あったそうだ。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
信州しんしゅうのある大名のお部屋様が、本町宿ほんちょうじゅく本陣ほんじん旅籠はたごにお泊りで、そこにもなんだか変な事があったそうで、それについては私はく存じませんがね
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
宿場らしい高札こうさつの立つところを中心に、本陣ほんじん問屋といや年寄としより伝馬役てんまやく定歩行役じょうほこうやく水役みずやく七里役しちりやく(飛脚)などより成る百軒ばかりの家々がおもな部分で
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
西暦せいれき一千八百六十六ねん墺普戰爭オーフツせんさうに、てき重圍じゆうゐおちいつたる墺太利軍オースタリーぐんいち偵察隊ていさつたいは、てきまなこくらまさんがため、密書みつしよをば軍用犬ぐんようけん首輪くびわして、その本陣ほんじん送皈おくりかへしたといふ逸話いつわがある。
(註五)「」はこのあいだに伝吉の枡屋の娘を誘拐ゆうかいしたり、長窪ながくぼ本陣ほんじん何某へ強請ゆすりに行ったりしたことを伝えている。これも他の諸書に載せてないのを見れば、軽々けいけい真偽しんぎを決することは出来ない。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)