すそ)” の例文
いはおもて浮模様うきもやうすそそろへて、上下うへしたかうはせたやうな柳条しまがあり、にじけづつてゑがいたうへを、ほんのりとかすみいろどる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すその方へいって伴奏に三味線がはいるのを、長唄ながうた研精会の稀音家和三郎きねやわさぶろうが引きうけていた。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
取りまわした山々のすそかけて、海と思うあたりまで、ひとつずつ蛙が鳴きますばかり、時々この二階から吹くように、峰をおろす風が、庭前にわさきの松のこずえに、さっと鳴って渡るのです。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
電車の口からさっと打った網のすそが一度、混雑の波に消えて、やがて、むきのかわった仲見世へ、手元を細くすらすらと手繰寄せられたていに、前刻さっきの女が、肩を落して、雪かと思う襟脚細く、紺蛇目傘こんじゃのめ
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)