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景況
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ありさま
引開れば是はまた家は
裳脱のから
衣被つゝ
馴にし
夜具蒲團も其まゝあれど主はゐず
怪有なる事の
景況に是さへ
合點行ざりけり
材を
釿る
斧の音、板削る鉋の音、孔を
鑿るやら釘打つやら丁〻かち/\響忙しく、
木片は飛んで疾風に木の葉の飜へるが如く、
鋸屑舞つて晴天に雪の降る感応寺境内普請場の
景況賑やかに
材を
釿る
斧の音、板削る
鉋の音、
孔を
鑿るやら
釘打つやら丁々かちかち響き
忙しく、
木片は飛んで疾風に木の葉の
翻えるがごとく、
鋸屑舞って晴天に雪の降る感応寺境内普請場の
景況賑やかに
忘る
實に
蓬莱の
仙境も斯る
賑ひはよも非じと云ふべき
景況なれば萬八樓より
翦たる一同は
大門内山口巴と云引手茶屋へ
躍り
込ば是は皆々樣御
揃ひで能うこそお
出在れしぞ先々二階へ
入つしやいと家内の者共
喋々しき世事の中にも
親切らしく
其所よ
其所よと
妓樓を